「孤独を友とした仕事と向き合った時間は、けっして自分を裏切らない」
「希望は、自分とひたすら向き合う過程で生まれる。希望は孤独と背中合わせだ。ただ、人と人とのつながりの中で、希望がより力強く紡がれていくこともある」
「自信と独り善がりは外見は似ているけど、違うよ。自信は人並み以上の努力に裏打ちされるもの」
「ギリギリまで自分を追い込めば仕事力が磨かれて、それが閉鎖状況を打ち破る武器になる」
「人生はトーナメント戦ではなく、僕はむしろ『リーグ戦』だと思っている。たとえるなら大相撲だ。相撲は最初に5連敗しても、あとから10連勝して取り返すことができる。8勝7敗でもよいのだ」
「作家にとって、自分の本を読んでくれることほどうれしいことはない『講演が素晴らしかった』という当たり障りのないホメ言葉なら誰でも言えます。それよりも、実際に本を買って読むというアクションを起こしてくれたほうが、何倍も誠意が伝わってきます」
「僕も若い頃は、将来の展望なんて何も見えていなかった。1年先のことより、今月の家賃をどうやって払うのか、冷蔵庫はカラッポで、明日までどうやって食いつなぐのか。そんな不安と戦いながら、ひたすら目の前の仕事と取り組んでいました」
注釈:『突破する力』より。猪瀬がフリーのライターとして食べていけるようになったのは30代前半。それまではフリーターなどをしながら食いつないでいた。
「僕は原稿を書くとき、ギャラのことは一切考えません。『この雑誌は原稿料が安いから、この程度でいいか』などと思ったら、読者にたちまち見透かされてしまいます。力を抜いたら、読者はすぐに離れていく。原稿料がいくらであろうが、一文一文に魂を込める。それが僕の作家としての矜持(きょうじ)です」
「作家をやっていると、毎日いろいろな方から著書が贈られてきます。ときには、まったく面識のない作家やジャーナリストからいただくこともある。その場合も、僕は必ず自分の本を贈り返します。たとえ知らない相手でも、わざわざ自腹で本を贈ってくれたのだから、こちらも自腹で本を贈ってその思いに応える。考えてみれば、当り前の礼儀です」
注釈:『突破する力』より。猪瀬は見かけによらず意外と人たらしである